投資先「Survios」関連記事:
世界最先端ゲーム企業、Surviosの見つめるゲームの今とこれから

※以下では、電通ベンチャーズの投資先に関して、電通グループのR&D統括組織である電通イノベーションイニシアティブが作成した記事を一部加工して転載しています。

昨年のMeta Connect 2022の中でもQuest Store上でのコンテンツ販売額が2019年からの3年間で15億ドルを超えたと発表もあり、ますます注目を集めるVRゲーム市場。電通イノベーションイニシアティブ(以下、「DII」)は、コーポレートベンチャーキャピタルである電通ベンチャーズを通じて2015年に北米のSurvios, Inc.(以下「Survios」)に投資し、本市場のグローバルにおける動向を収集しながら協業を発展させてきました。北米企業や中国企業から新型デバイスのニュースも続々と流れ、市場が一段進化したとも思われる2022年に行われたSurviosのシリーズEラウンドでも電通ベンチャーズは追加出資を実行し、共同での取り組みを更に加速させていきます。「CREED」といった数多くの著名映画タイトルのVRゲーム化を手掛けながら、中国市場ではNetEase, Inc.(以下、「NetEase」)と合弁会社を設立するなど、業界の最先端を走るSurvios。ゲーム市場の今とSurviosの見つめる未来を探るため、同社を率いるCEOのSeth Gerson氏に、電通ベンチャーズのマネージングパートナーの笹本とDIIのチーフ・ディレクターの小山が迫ります。

Seth Gerson
Survios CEO。セガでキャリアをスタートさせた後、Activision Blizzardの初期プロデューサーとしてAsteroidsなどのタイトルを監修。その後、Universal StudiosでCrash Bashの制作に携わり、その後、2つのエンターテイメント企業を共同設立。長年のゲーム業界・エンターテインメント業界での実績とネットワークを活かして、Surviosの著名IPとのコラボレーションやCROSS-PLATFORM化など急成長を牽引。

笹本 康太郎
電通ベンチャーズ マネージングパートナー。電通入社後、マーケティング局、営業局にてクライアントのマーケティング戦略立案・実施を中心に幅広い広告関連業務に従事。その後海外業務に軸足を移し、クライアントの海外オペレーション立ち上げ、電通の海外拠点設立等に携わる。留学を経て経営企画局に異動し、国内外のスタートアップ企業への投資、新規事業開発等を担当。2015年に電通ベンチャーズを立ち上げ、マネージング・パートナーに就任。

小山 祐樹
株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブ チーフ・ディレクター。電通入社後、営業局、経営企画局を経て現在は電通グループのグループR&D組織である「電通イノベーションイニシアティブ(DII)」のチーフ・ディレクターとして、新領域投資や投資先との事業共創をリード。主にXR/メタバース/New Media領域、日本/北米/インド/東南アジアなど国内外のエリアを担当。

Surviosのこれまでの歴史

小山:まず、Surviosに対しては電通ベンチャーズが2015年に投資をしました。そこから様々な道のりがあったと思いますが、会社としての特徴を簡単に教えて貰えますか?

Seth:Surviosは元々、2014年にVRヘッドセットの開発とゲームコンテンツの開発の両方を手がける企業として創業しました。Metaの買収したQuestやValveといった企業がこのカテゴリーには存在していました。その後、ゲームコンテンツ開発に注力していくことになるのですが、当初デバイス開発を手掛けていたこともあり、独自のテクノロジーソリューションを構築していくことを大切にしてきました。新しいタイトルをつくる際にも、常にこれから必要となる開発基盤やゲーム内機能などを考え、それらを実現してきました。例えば、初期にメガヒットとなったRow Dataでは「VIRTUAL AVATAR」、そして、CREEDではユーザーが実際にボクシングをしているような感覚を持てる「PHANTOM MELEE TECHNOLOGY」、最近手掛けたBATTLEWAKEでは街や建物といった制作するモジュールを瞬時に量産できる「MOSAIC」などの技術です。私たちはゲーム会社の中でもテクノロジーとコンテンツの掛け算でクオリティの高いゲームを開発し続けることが出来てきたと思います。

小山:なるほど、それぞれのゲームタイトルの裏側で数多くの技術スタックが開発・蓄積されて来たことがSurviosの強みになっているのですね。ちなみに、電通ベンチャーズは投資実行時にどのようなポイントを評価していたのでしょうか?

笹本:そうですね、Sethからの説明にもあった通り、2015年当時からSurviosはデバイスとコンテンツ双方の開発に取り組んでおり、その高度な連携は他にはないユニークネスでした。実際デバイス開発から得られる知見がコンテンツ体験の細部にも活かされており、この独自のケイパビリティは、例えばVRにおいても統一的でクオリティの高い体験を求める各種IPホルダーのニーズにも合致するのではと考えていました。結果、MGM、HBO、AMCといった大手企業の映画やドラマの展開に合わせて、VRゲーム化の依頼を受け取ることの出来る世界でも最高クオリティのVRゲーム企業に成長しているので素晴らしい進展だと思います。

小山:確かに、クオリティの高いコンテンツホルダーからVRゲーム開発の依頼を受け取れているというポジションは素晴らしいですよね。それから私と笹本さんで2019年に本社にも向かいましたが、中国のNetEaseもSurviosのゲームクオリティを評価して、中国市場向けの合弁会社を設立しました。 北米と中国のそれぞれの市場にディストリビューションが出来るということも彼らの強みになるのではないかと思います。

VRゲーム市場の今とこれから

小山:そんなSurviosから現在のVRゲーム市場はどのように見えていますか?

Seth:近年、VRゲーム市場が大きく変わって来たことを感じたのは「CREED RISE TO GLORY」のローンチの時でした。当時は未だVRヘッドセットの普及台数は400万台程度だったと記憶していますが、映画館のチケット売上の約40%に当たる売上を私たちのゲームが作り出しました。また直近ではデバイスの普及台数も大きく伸長し、まさに新しいフェーズに入りはじめているのではないかと思います。Quest2の普及台数が1,500万台に迫るという記事やXboxの台数を上回ったというニュースもあります。そこには大きな市場が生まれはじめていることの表れだと思います。

小山:確かに、2022年3月末にサンフランシスコで開催されたゲーム開発者向けのイベント「Game Developers Conference」では売上が2000万ドルを超えたタイトルがすでに20以上あると発表されていて驚きました。

Seth:デバイスの動きはMetaだけに留まりません。PlayStation VRの次世代機、ByteDanceが買収したPico、そしてAppleやSnapの周りからも多くの報道があります。それら全てのデバイス普及にとってコンテンツはとても重要で私たちは今までに蓄積してきた様々なパートナー企業との連携により、「CROSS-PLATFORM CAPABILITY」を保持しています。ゲーム企業やIPホルダーのコンテンツを同時に複数デバイスに開発・提供が出来ることは、これから先の市場においてもSurviosの強みになると確信しています。

笹本:北米と中国という2つの市場へのディストリビューション力に重ねて、VRとAR、そして従来のコンソールゲームにまで対応が出来るというのはかなり広範囲の対応力になりますね。その中でも特に今、力を入れている取り組みは何になりますか?

Seth:VRゲームはモバイルゲームと明らかに提供価値が違います。どちらかというとコンソールゲームやPCゲームに近く、それを更に進化させることが出来ると思っており、現在は世界中の誰もが驚くような高いクオリティの新しいゲームの開発に取り組んでいます。その実現に向けては開発コストも一つの課題になります。Call of Dutyのようなゲームの予算がどれほど大きいか考えてみて下さい。私たちは今のVR市場における波を捉えながら、IPホルダーの新しい収益源となり、デバイス自体をも普及させるようなゲームを近い将来にリリースしていきたいと考えています。それを実現する為に必要となるテクノロジーも十分に蓄積してこられたと思います。

小山:それは今からリリースが楽しみです。ちなみに、Surviosはその先のVRやゲーム市場の将来をどのように見ていますか?何か準備をしていることがあれば教えて下さい。

Seth:VRの場合、近年はMetaのプラットフォームのような様々な素晴らしい発表がありました。そして今、私たちが北米で見ているのは、それらが昨年から着実に定着しはじめていることです。私はそれがより一層浸透していくと考えています。VR業界の人間には様々な苦労がありました。VRデバイスは最初のPlayStation VRまでヒットしませんでしたし、ロケーションVR施設の運営でも試行錯誤がありました。奇しくもCOVIDがフェーズを変えたように見えます。そして今、世界にはメタバースという言葉も登場し、その流れは更に加速しています。ARがメタバースの最大の推進者になるという意見もあります。どのデバイスがどのように拡がっていくかまでは正確に解りませんが、SurviosではVRでもARでもあらゆるデバイスで楽しめるクオリティの高いコンテンツ開発を独自のテクノロジーと共に進めていきます。現在、ユーザーがVRゲームで楽しんでいる空間をARデバイスから俯瞰的に眺めて参加することが出来るクロスデバイスのテクノロジーや、VR空間に何億人ものユーザーが参加できるテクノロジーも開発を進めています。VR空間におけるアバターモーションをNFT化することにもトライしています。テクノロジーの進化と共にSurviosは新しいゲーム体験を世界に届けられると思います。

小山:私たちは先ほどデモを見せて貰いましたが、これらは言葉だけでは伝え切れない部分もありそうですね(笑)。Surviosのこれからのニュースにも是非、注目して欲しいと思います。

Survios×電通グループでチャレンジする未来

小山:そんなSurviosから見て電通グループに対する期待は何かありますか?

Seth:電通グループは今までも素晴らしいパートナーでした。一番の理由は私たちが北米の会社だったことにも起因するかと思います。現在、私たちは創業時に比べてかなり大きくなっていますが、私たちは日本にオフィスを持てていません。電通グループは資本や戦略のアドバイスに留まらず、IPホルダーのコーディネートなどSurviosの日本事業を推進していく為に様々な支援をしてくれました。また、VRのロケーションエンターテインメント事業に関してはSurviosに代わって日本市場におけるPOCを推進してくれました。

笹本:懐かしいですね。2019年にVR体験施設「Survios Virtual Reality Arcade」を、東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」に期間限定で開設してPOCを推進しました。既存事業で培ったネットワークやエグゼキューション力を世界中のスタートアップに提供していけることは私たちの特徴の一つかと思います。

Seth:また、電通グループは日本だけでなく、アジア全体のIPホルダーやネットワークを保有し、それらを適切に繋いでナビゲートしてくれています。アジアの小売市場は米国の小売市場とは大きく異なります。電通グループのことを私たちは社内で「スマートガイ」と呼んでいますよ(笑)。是非、そんな電通グループと一緒に日本やアジアのIPともコラボレーションした未来のゲームやメタバースの構築にチャレンジしていきたいです。

小山:それは電通グループも同じ夢を抱いています。是非、Surviosのテクノロジーや開発力との掛け算で西洋から東洋まで、世界中の人々に喜んで貰えるような新しいゲーム、そしてエンターテインメントの開発に挑戦していきましょう。

笹本 康太郎  株式会社電通グループ 電通ベンチャーズ マネージングパートナー
小山 祐樹  株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブ チーフ・ディレクター

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